そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

2022-01-01から1ヶ月間の記事一覧

日本の若者が希望を抱きにくい原因は「社会の硬直性」か

内閣府が2013年に行った「若者の意識」についての国際的な調査があります。日本および6か国の若者(13歳~29歳)を対象としたもの。 その質問項目に「自分の将来に明るい希望を持っているか?」というのがあります。選択肢は「希望がある」「どちらかといえ…

「一流」はブレない・巨匠ダーウィンに学ぶ

チャールズ・ダーウィン(1809~82、イギリス)と同時に同じ主旨の「自然選択による進化論」を発表した科学者がいました。アルフレッド・ラッセル・ウォレス(1823~1913、イギリス)です。 進化論は神がかりを否定して唯物論的に生命を説明します。つまり「…

我が家のガスストーブ・餅も焼けます

写真は我が家のガスストーブ(リンナイ製)。ガス屋さんではファンヒータータイプを勧められましたが、ずんぐりした姿が気にいってこちらにしました。もう15年は使っています。 古い集合住宅(10数年前にリノベした団地)の我が家にもお似合いです。古い団地…

新国立競技場と大人しくなった日本

東京オリンピックのメインスタジアムの新国立競技場(設計・隈研吾)は、巨大だけど周囲にも調和する、たしかに立派な建築です。 しかし一方でその前に立っても、あれだけ大きいのに「ものすごい」という感じで迫ってはこないように、私には思えます。 これ…

コインも紙幣も最初は「仮想通貨」だった

近年普及してきた仮想通貨(暗号資産)というもの。ネット上の技術や契約・ルールに基づく、デジタルなお金です。これに対し、紙幣やコインという「本来のお金」があります。 でもお金の歴史をみると、これらの本来のお金も、最初はみな仮想通貨的なものでし…

日本は「賞をあげる国」になることを考えよう

日本の芸術・学問などのクリエイティブな業績が、海外で大きな賞をとったと聞くと、うれしいものです。 でも、ふと思うのです。日本にはアカデミー賞やカンヌ映画祭、そしてノーベル賞に匹敵する、誰もが知るような世界的イベントはないのだなあ、と。 オリ…

今日の名言 花森安治 どのように書くかというよりも…

【今日の名言】 花森安治(雑誌『暮しの手帖』初代編集長、1911~1978) どのように書くか、というよりも、何を書くかだ。 花森が編集長の雑誌『暮しの手帖』は、内容とともに文章のわかりやすさで定評がありました。花森の文章へのこだわりには、並々ならぬ…

三権分立の本当の意味・「権力均衡のしくみ」ではない

国家でも企業でも個人でも「何かを行う」のは、大きく分けてつぎの3つの段階から成っています。 1.何をするか決める(Plan=計画・企画)2.実行する(Do=実行)3.行った結果を当初の決定に照らし確認する(See=検証) そして、憲法で定める三権分立とは、…

本を読んでもわからないのは、書き手のせいかも

本を読んでもわからないのは、あなたの勉強不足かもしれません。でも、書いた側の表現や説明の仕方が悪い、ということもあり得ます。 そもそも、内容じたいがめちゃくちゃだから、何を言っているんだかわからないのかもしれない。わからない本を無理して読む…

小さな今川焼屋さん・「小商い」の理想?

NHKの朝ドラで、新婚のヒロイン夫婦が、移り住んだばかりの町で回転焼き(今川焼き)の店を始める話がありました。 時代は昭和30年代。2人はどうにか3か月暮らせるくらいの貯金はあるものの、ほかにはとくに何も持たず、仕事もない。ヒロインには、幼少時に…

大人も「将来何になる?」と考えてみよう

歌人の穂村弘さんは、ある時お母さんに訊かれました。「お前、将来何になるんだい?」 当時の穂村さんは40歳過ぎで会社の管理職。少し変な質問です。 “いやだなあ、お母さん、もう今が将来なんですよ”(『本当はちがうんだ日記』集英社文庫) でも、私そうい…

今日の名言 井上ひさし むずかしいことをやさしく…

【今日の名言】 井上ひさし(作家・劇作家、1934~2010)井上麻矢『夜中の電話』(集英社文庫)より むずかしいことをやさしく、やさしいことをふかく、ふかいことをゆかいに、ゆかいなことをまじめに書くこと。 井上さんはこの「基本姿勢」を記した紙を、つ…

「一汁一菜」のシンプルな自炊

この何年か、やや大きめの汁椀を夫婦で使っています。これに何種類かの野菜、豆腐や油揚げ、肉・魚などが入った「具沢山の味噌汁」をたっぷりと盛り付ける。すると、あとはご飯と漬物やふりかけで、かなり満足できる食事になる。 私は料理上手ではありません…

創造論を信じる人たち・科学を受け入れるのは容易ではない

2017年のギャラップ社による調査では、アメリカでは「神が人類を創造した」という創造論を信じる人は38%だったそうです。 そして「進化は神の導き」とする人も38%。「神の導きなしに人類は進化した」という進化論者は20%に過ぎません(三井誠『ルポ 人は…

勉強は「基礎」ではなく「面白いところ」から

勉強は「基礎」から始めるよりも、自分にとって「面白いところ」から手をつけたほうがいいです。 「基礎」と一般に言われているのは、たいていつまらないところです。せっかくやる気になっているのに、そういうつまらないところに無理につきあっていると、意…

小さなピース(断片)だけでなく、たまには大きな塊(かたまり)を

「小さなピース(断片)」は、今の文化の主流です。 たとえば、本1冊ではなく、ブログの短い記事や百数十文字のつぶやきを読む。音楽ならアルバム全体を聴くのではなく、1曲ずつダウンロード。長編の映画やドラマよりも短い動画。 この傾向は、すっかり定着…

今日の名言 デフォー(『ロビンソン・クルーソー』より)

【今日の名言】デフォー(1660~1731、英国の作家)『ロビンソン・クルーソー』より どんなに悪いことでも、そのなかに含まれている良いことを除外して考えてはいけない。またより悪いこともそれに伴っていることを忘れてはいけない。 難破して無人島に1人生…

独学者と「遊び」

評論家の吉本隆明(1924~2012)が、こんな意味のことを言っています。 「大学は行ったほうがいい。いい歳をして遊ぶことができるから。その経験があると、人生は違ってくる。独学者で偉大な人もいるが、遊ぶことを知らないので、考えが狭くなりがちだ」 で…

コミュ力重視の社会

今度の宇宙飛行士の選考は、理系の学歴・職歴を持たない人にもオープンになりました。発信力、つまりコミュニケーション能力(コミュ力)を一層重視するのだそうです。 最近の採用選考では、一般企業はもちろん、公務員でも技術者でも研究者でもクリエイター…

今日の名言 大滝詠一 迷った時には…

【今日の名言】大滝詠一(シンガーソングライター・作曲家、1948~2013) 迷った時には墓参り。 大滝詠一さんは少年時代からぼう大な中古レコードを聴き、海外ポップスなどの音楽の歴史を探究した人。曲づくりで迷うときは、自分のルーツとなったさまざまな…

徹底的な片づけ

数年に1回は家じゅうのモノを整理するまとまった片づけをしていますが、昨年はとくに徹底して行いました。 この数年、モノが増えて収納の秩序が崩れていました。本来まとめて収納すべきモノが無秩序に分散して全体像がみえなくなっていたのです。 たとえばペ…

「つくる読書」と「広げる読書」

読書には、ふたつのものがあります。ひとつは、「自分の考え方をつくる読書」です。これと決めた、信頼できる著者を「先生」と思ってその本を丹念に読み、自分の核になる考え方をつくっていくことです。 もうひとつは、「自分の知識を広げる読書」です。「考…

今日の名言 デルブリュックの教え

【今日の名言】マックス・デルブリュック(分子生物学者、1969年ノーベル賞)講演・プレゼンにおける基本的な心構え…「デルブリュックの教え」 ひとつ、聞き手は完全に無知だと思え。ひとつ、聞き手は高度の知性を持つと想定せよ。 いろいろなところで引用さ…

「かつてない転換期」と言い続けるリーダーたち

今年の正月の日経新聞に載った、有名な総合商社の全面広告でこんなメッセージが述べられていました。 「いま、世界はかつてない転換期」「これまでの常識が通じない」 そういえば、私が若手社員だった30年余り前にも、新年に私の会社の社長はそんなことを述…

あるテーマで「これだ」という本を選ぶ。その経験値を増やそう

たとえば、経済学を独学しようとしたとします。すると、教科書を選ばないといけません。 経済学の本はいろいろあります。その中から、自分の学力や関心に照らして教科書を選ぶのです。 「経済学」というのは大きなテーマですが、特定の時事問題のようなもっ…

今日の名言 ソロー

【今日の名言】 ヘンリー・ディヴィッド・ソロー(思想家、自然保護運動などに影響、1817~1862) 人によって歩むペースが違うのは、みんな違った太鼓のリズムを聞いているからだ。自分の耳に響く行進のリズムに合わせて歩もう。それがどんな拍子であっても…

新しい目標のみつけ方・未完のプロジェクトの再検討

「何か新しいことをしたいけど、いいテーマがみつからない」という人には、まったく新しいことではなく「過去に取り組んだ未完成の取り組みを再検討する」ことがおすすめです。それは、文字通り未完成で終わったものだけではありません。一応終わったけど出…

書店をうろうろする贅沢

仕事などの帰り道や休みの日に、近所の駅前の、そんなには大きくない本屋さんに立ち寄るのが大好きです。 時間に余裕があると、1時間くらいうろうろして目についた本を、10冊くらいは手にとってめくってみます。例えば歴史、政治、SF、ビジネス、映画、料理…

新旧2つの世界・インターネット以前と以後

今から30年余り前、私そういちが若者だった1990年頃、活字文化はまだそれなりに元気でした。当時の私は読書好きの1人として、社会・人文系の古典を読むことに大きな意義を感じていました。古書店にも足を運びました。 インターネットはなく、パソコンも普及…

今日の名言 未来はすでにここにある(ギブスン)

【今日の名言】 ウイリアム・ギブスン(SF作家、1948~) 未来はすでにここにある。ただ、いきわたっていないだけだ。 未来は現在の単純な延長線上にあるのではありませんが、今とまったくの別物でもないはずです。 今存在する、まだメジャーでない何かが発…