評論家の吉本隆明(1924~2012)が、こんな意味のことを言っています。
「大学は行ったほうがいい。いい歳をして遊ぶことができるから。その経験があると、人生は違ってくる。独学者で偉大な人もいるが、遊ぶことを知らないので、考えが狭くなりがちだ」
でも「遊び」を知る独学者もいます。
たとえばアメリカ独立で活躍したベンジャミン・フランクリン(1706~90)は、小学校中退で働き、事業で成功しましたが、道楽としての科学研究にも没頭しました。40代になると事業を引退し、その後は研究に専念して業績を残しています。
20世紀を代表するデザイナーの1人、チャールズ・イームズ(1907~78)は、働きながら夜間高校を出て大学は中退ですが、弟子たちに「真剣に遊べ」と言っています。
イームズは玩具や無用のグッズを集め、いろんな遊びに没頭しました。彼の活動した数十年前には、そんな大人は珍しかったのです。
「遊び」を知ることは大切です。でも、独学者であろうとなかろうと、意識して遊びを楽しめばいいのです。