そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

コミュ力重視の社会

今度の宇宙飛行士の選考は、理系の学歴・職歴を持たない人にもオープンになりました。発信力、つまりコミュニケーション能力(コミュ力)を一層重視するのだそうです。

最近の採用選考では、一般企業はもちろん、公務員でも技術者でも研究者でもクリエイターでもコミュ力が重視されていますが、ついに宇宙飛行士まで!

「コミュ力」で思い出すのが、おととし(2020年秋)にファッションデザイナーの川久保玲さん(コム・デ・ギャルソン社長)がテレビのインタビューに答えていた姿です。

彼女は半世紀近く第一線で活躍する巨匠ですが、「作品が全て」だとして、滅多にマスコミに登場しない人。しかし「コロナ禍において、モノをつくる活動の意義を訴えたい」と取材に応じたのでした。

川久保さんは、淡々と意義深いことを話しました。しかし、いかにも「巨匠」という感じの、テレビ受けするインパクトはありません。若い頃の川久保さんは、コミュ力に長けたほうではなかったようです。

最近のようなコミュ力重視の、話し下手なおとなしい人にチャンスが与えられにくい社会では、若い頃の川久保さんのような人は埋もれてしまうのでしょう。

そして彼女ほどの才能かどうかはともかく、コミュ力がいまひとつでも有望な若い人は多くいるはず。それを見落としては、組織や社会にとって大きな損失です。

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