そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

「国家を拘束する」という憲法観と三権分立

「憲法とは、国家権力(政府)をも拘束する最高の法規である」という、古典的な憲法観を、私は信奉しています。 ただし、「そのような憲法観はもう古い」などという主張もあるようです。そこには「国家権力を法(憲法を頂点とする法体系)から解放して自由な…

じつは「知の巨人」・かこさとし

5月2日は、絵本作家かこさとし(1926~2018)の亡くなった日です。 かこは、昭和の後期~平成に「だるまちゃん」「からすのパンやさん」のシリーズや、数々の科学絵本など、生涯で600もの作品を残しました。 彼は、もともとは東京大学工学部卒の技術者です。…

インターネット空間の治安を守る「警察」が要る?

インターネットには、一般に普及し始めた頃、「国家やマスコミやその他の権威から自由な、開放的空間」というイメージがありました。ある種の「性善説」でインターネットをみていたわけです。 ところが今は、インターネットは、悪意や愚かさに満ちた、かなり…

浜口ミホ(ダイニング・キッチン開発)と三淵嘉子(「虎に翼」のモデル)

4月12日は、「日本初の女性建築家」といわれる浜口ミホ(1915~1988)の亡くなった日です。 彼女の代表作は、1950 年代に開発され大量につくられた、公団住宅(団地)のキッチンです。 当時の台所は一般に「日当たりの悪い、女中の仕事場」という位置づけで…

この30年余りの「失敗」「まちがい」を再点検しよう・日経平均の最高値更新

先週2月22日、日経平均株価は3万9098円の終値で、1989年末のバブル経済時代の最高値を更新しました。一応これは画期的なことといえると思います。 でも、1990年頃と比較してアメリカの株価(ダウ平均)は13~14倍になっているのに、日本は1990年頃の株価を30…

被害者意識による暴力の恐ろしさ・深刻さ

今現在のイスラエルによるガザ地区への攻撃をみていると、「被害者意識に基づく暴力の恐ろしさ・深刻さ」ということを強く感じます。 イスラエルは、直接的には2023年10月に行なわれたハマス(ガザ地区を実効支配するイスラム勢力)によるイスラエルへの越境…

『一気に流れがわかる世界史』発売

しばらく更新を休んでおりました。はてなブログのお仲間への訪問もできていないなか、告知の記事で再開というのは恐縮ですが、私そういちの新しい本が出るので、お知らせさせてください。 2月5日に、PHP文庫から『一気に流れがわかる世界史』(秋田総一郎名…

津田梅子・不自由な「母国」で道を切りひらいた女子留学生

明治4年、数名の少女が国費の留学生として米国に渡りました。その最年少が6歳の津田梅子(つだうめこ、1864~1929、元治元年~昭4)でした。彼女は通訳である藩士の娘で、父親は自分の娘に特別な教育(完全な英語力など)を与えたいと考えたのです。 津田梅…

「あの戦争」を何と呼ぶか・太平洋戦争の呼称

太平洋戦争(1941~45)などの昭和の戦争の名称に関しては、いくつかの立場があります。つまり、いくつかの呼び方がある。それは、政治的立場やそれと結びついた歴史観・世界観の相違を反映しています。 じつは昭和の戦争にかぎらず「歴史的事件を何と呼ぶか…

第二次世界大戦の犠牲者数・最も犠牲が多かった国は?

第ニ次世界大戦(1939~1945)による死者は、世界全体で軍人(戦闘員)2305万人、民間人3158万人、合計5400万人余りにのぼりました。これは、第一次世界大戦(軍人・民間合計で約1800万人)を大きく上回るものでした。 *ウッドラフ『概説現代世界の歴史』ミ…

ビッグモーターと前社長にこれから起きることは?「許認可」に注目

昨日、ビッグモーターの不祥事(自動車保険の不正請求など)について、テレビのワイドショーで「創業者の前社長に対し、どのような責任追及が可能か」を解説していました。 私は会社員時代に、法務・コンプライアンス関係の部署にいたことがあったせいか、こ…

映画『君たちはどう生きるか』は監督の自叙伝で、漫画版『ナウシカ』最終巻の映像化

*以下、映画についてのネタバレを含みます。まだこの映画をご覧になっていない方は、できるだけ予備知識なしでみることをおすすめします。 そもそも巨匠監督の作品を「どんな映画か」まったく知らずにみるなんて、今の時代ではなかなかできない、贅沢なこと…

すぐれた読みやすい自伝・坂本龍一『音楽は自由にする』

今年3月に亡くなった坂本龍一さん(1952~2023)の自伝『音楽は自由にする』(新潮文庫)を読みました。2009年に新潮社から出版された単行本を、つい最近(2023年5月発行として)文庫化したもの。 編集者の鈴木正文さんを聞き手として坂本さんが語ったことを…

生成型AIは「人間の精神」と「外界」のつながりを歪めるかもしれない

ChatGPTに代表される生成型AIというのは、情報の検索や整理、アイデアの検討などに役立つ道具です。そういうものとして使いこなせる人は、ぜひ使えばいいと思います。 その一方でChatGPTは「人間の精神・認識」と「外界」の関係をかく乱したり、歪めたりする…

モハメド・アリ 私たちに多くを与えてくれたアスリート

6月3日(この記事をアップした日)は、ボクサーのモハメド・アリ(1942~2016、アメリカ)の命日です。このブログでは、コンテンツの一部として、その誕生日や命日などに偉人を紹介する記事をたまにのせています。 モハメド・アリは、ボクシング史上最も有名…

チャップリン・独創ではないからこそ長く残った

山高帽、ダブダブのズボン、大きなドタ靴、ちょびヒゲ。「喜劇王」といわれた俳優・映画監督チャーリー・チャップリン(1899~1977、イギリス出身、おもにアメリカで活躍)のおなじみの扮装です。 でも、この扮装は彼の独創ではありません。その各パーツは、…

子どもたちの楽しみにおける「物語」の地位低下

「今の子どもに“物語”の楽しさや価値を伝えたい」――これはこのあいだ少しお話することがあった、ある若い国語の先生が述べていたことです。 この先生は、つぎのような話をされました。 「今の子どもは、自分が子どもだった頃(10年~10数年前)以上に、イン…

「個の力を削ぐもの」を除去するリーダー・2人の代表監督の仕事ぶり

組織のリーダーの重要な役割として、次のことがあると思います。 「“メンバー個々人が能力を発揮するうえで妨げとなる要素”が組織のなかで大きくならないように、その発生を抑えたり、小さな芽のうちに除去したりすること」 これは、サッカーワールドカップ…

久しぶりに(テレビで)野球観戦・ムダな時間を心ゆくまで楽しむ

今回のWBCで、私は久しぶりに野球の試合を(テレビの中継ですが)心ゆくまで楽しみました。 今50代後半の私は、子どもの頃(1970年代~80年頃)には、よくプロ野球のナイター中継をみたものです。とくに野球ファンというわけではなかったのですが、野球を…

プーチンの「被害者意識による正当化」という思考回路

先日(2023年2月21日)の年次教書演説など、ロシアのプーチン大統領は「ウクライナでの紛争を煽り、犠牲を拡大させたのは、西側の権力者とウクライナの現政権だ」という発信をくり返しています。 それは要するに「自己正当化」ということですが、その「正当…

「公助」を使うのも主体性・「間違った自助努力」に気をつける

自分で頑張るだけでなく、周囲や、あるいは社会による支援に頼ることをどう考えるか? 「自助」「共助」「公助」という言葉もありますが、それらの関係や優先順位についてどう考えるか? これは、現代社会において人生に大きな影響をあたえる事項のひとつで…

素人が「科学とは何か」を考えるための本・『サイエンス・ファクト』

ガレス・レン&ロードリ・レン『サイエンス・ファクト 科学的根拠が信頼できない訳』(塚本浩司監訳・多田桃子訳、ニュートン新書、2023年)という本を読みました。イギリスの生理学者である父と、科学社会学的な分野の研究者である息子による共著。 サイエ…

ベンジャミン・フランクリン 近代社会を精いっぱい生きた最強の独学者 

1月17日は、ベンジャミン・フランクリン(1706~1790、アメリカ)の誕生日です。 フランクリンは、ワシントン、ジェファーソンと並ぶアメリカ独立の功労者で、電気学などの科学研究や、さまざまな社会事業で活躍しました。哲学や社会科学の分野でも業績があ…

いつまでもいると思うな・高橋幸宏さんの言葉

「いつまでもいると思うな高橋幸宏」――これは先日(2023年1月11日に)亡くなったYMOの高橋幸宏さん自身が数年前に述べた言葉です。 2016年11月に、バンドMETAFIVEの一員として生出演した朝のワイドショー『スッキリ‼』で、高橋さんはそう言っていました(ど…

「初詣」の歴史・じつは鉄道が生んだ新しい伝統

今年の初詣は、歩いて10分ほどの近所にある小さな神社に、元旦にお参りしました。 その神社に初詣に行くのは初めてのことで、「小さな神社だから空いているだろう」と思っていました。 しかし、かなりの人たちが(おそらく近所から)集まって行列になってい…

【新年の名言】星新一 ことしもまたごいっしょに宇宙旅行をしましょう

星新一(作家、1926~1997)がある年に友人たちに送った年賀状にはこう書かれていたそうです。 ことしもまたごいっしょに九億四千万キロメートルの宇宙旅行をいたしましょう。これは地球が太陽のまわりを一周する距離です。速度は秒速二十九・七キロメートル…

2022年の世界と日本と当ブログをふり返る・「生き残りたい」

2022年最後の更新です。今年の世界・日本の出来事をふり返りながら、その出来事についての当ブログの記事を紹介します。そこで「当ブログの2022年のふり返り」でもあります。 もくじ ロシアによるウクライナ侵攻 安倍元首相殺害 中国における新型コロナ対策 …

ハワード・ヒューズという究極の不幸な金持ち

12月24日のクリスマス・イブになると、私はこの日が誕生日の、ある大富豪のことを思い出します。 20世紀のアメリカにハワード・ヒューズ(1905~1976)という大富豪がいました。彼は早死にした父親が創業した機械メーカーを18歳で相続し、その後まもなく、会…

世界における「移民」「難民」の大まかで基本的な数字

「移民」「難民」のことは、世界情勢を理解するうえで非常に重要なはずですが、私たちはそれについては(世界情勢に関するほかのこととくらべても)まったく知識が足りないように思います。 この記事では、世界における「移民」「難民」についてのごく大まか…

お金を使うのはむずかしい・防衛予算増額のこと

防衛予算の増額については、今の日本周辺の情勢だと、一定程度はやむを得ないと、私も思います。しかし心配なのは、「増額した予算をうまく使えるか?」ということです。 アジア・太平洋戦争における日本軍は、軍事費の使い方が上手ではなかったようです。そ…