たとえば、経済学を独学しようとしたとします。すると、教科書を選ばないといけません。
経済学の本はいろいろあります。その中から、自分の学力や関心に照らして教科書を選ぶのです。
「経済学」というのは大きなテーマですが、特定の時事問題のようなもっと小さなテーマでも、たくさんの本があります。良い本もあれば、そうでもないものもある。その中から良い本を選ばないといけません。
あるテーマで「これはいい本なのでは」というものを選ぶ――多くの人は、これが苦手なのでは?
それは子どものころから、教科書というのは自分でみつけるのではなく、つねに与えられるものだったからです。学校では「この本を読んで、書いてあることを覚えなさい」という訓練ばかりをします。
だから多くの人は「このテーマで良いと思う本を自分で選びなさい」と言われると、とまどうのです。そして結局、身近な書店でたまたま並んでいた本を買ってくると、もうほかの本は読まなくなってしまう。
でも本当は、できるだけ大きな書店に行って本を何冊も手にしながら、「これかな」と思える本を探さないといけないのです。
ここで買った本は「とりあえずの教科書」です。その本で勉強しながらも、書店へ出かけては、その分野のいろんな本を手に取ってみることが必要です。
すると、もっと良い本がみつかるかもしれません。あるいは、「とりあえず」買った本が、最初思った以上に良い本だったとわかるかもしれません。
このように、労力と時間をかけて「これを自分の勉強の中心にしよう」という本を決めていく。その過程で、すでに相当勉強していることになります。
「これだ」という本を選ぶ。その経験値を増やすことは、自分の頭で考える力の基礎になると思います。
勉強法や読書法について述べた私そういちの著書です。