そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

「あの戦争」を考えるための当ブログの記事まとめ

私は、このブログで戦争や平和について考えるための記事を、かなり書いてきました。

私そういちは、歴史関連をおもなテーマとする(ほかの仕事と兼業の)売れない物書きで、世界史を概説した商業出版の著書もあります(『一気に流れがわかる世界史』PHP文庫)。

私が得意とするのは、歴史についての基礎知識を、初心者にもわかりやすいかたちで要約して述べることです。あの戦争――第二次世界大戦や太平洋戦争についても、このブログなどで、その得意とするアプローチで取り組んできました。

ただし、「やかりやすく」といっても、「教科書にない歴史」的な、一般向けの歴史読みものに時々みられるある種の傾向に対しては、はっきりと背を向けてきました。

私が書いているのは、教科書的な知識を補完し、さらに整理・再構成することで、読者の視野や関心を広げることをめざしたもの。

書くためのおもな材料は、教科書的な知識と、そのベースである専門家・歴史家による著書(概説書・専門書の両方を含む)です。

近年のネット上にある記事のなかには、「教科書」を憎悪しているものがかなりあります。その憎悪は、教科書を教える先生、優等生、さらに教科書的知識の源泉である権威ある知識人への嫌悪や反発心といってもいいでしょう。

「教科書にある歴史なんてみんなウソ」という「歴史家」が、今のネット上には、かなりいます。そういう人たちによる記事が、結構な「いいね」を集めていたりする。

「あの虐殺はなかった」「あの戦争は侵略ではなかった」といった記事は、歴史系のネット記事のなかでは、「いいね」を集めやすいです。

多くの「いいね」があれば、書き手はますますその方向へのめり込み、そのような書き手の新規参入は増えていく。

教科書をうのみしないで、疑ってみること自体は、主体的に考えるうえで大事なことだと私も思います。

しかし、その「疑い」が、憎悪につよく後押しされて、どんどんあらぬ方向にいってしまうことがあります。世の中では、そういう傾向が強くなっている。

教科書や教師に反発し、権威に抵抗するうちに、「地球はほんとうは平面である」という「真理」にたどりつく人もいるのです。歴史認識でも、「地球平面説」的なトンデモな方向に惹かれる人はいるし、その数は増えている。

私はおおいに心配しています。

歴史に対し、いろんな解釈や捉え方があるのは、当然です。しかし、「見たいものしかみない」ばかりになってはならないはず。

多くの人のあいだで共有できる、最低ラインや基盤といえるような認識を、なんとか明確にできないものか、と思います。

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前置きが長くなってしまいました。私が書いた、このブログとnoteにおける、戦争を考える記事を紹介します。ここでは太平洋戦争や第二次世界大戦についての記事をとりあげます。

1.まず、第二次世界大戦の犠牲者数(全体・国別)を総括した記事。

この大戦の全世界での犠牲者は、推定の仕方によって違いがありますが、控えめな推定で5000数百万人、最近主流の、犠牲者をより広くとった推定では7000~8000万人にのぼります。

 

2.アメリカとの戦争を始めた当時、アメリカのGDPは日本の12倍、粗鋼生産量も12倍、自動車保有台数は161倍、原油生産量は500数十倍……やはり、どうみても無謀な戦争でした。そのような基本的前提を確認・整理しています。

 

3.「太平洋戦争」「第二次世界大戦」「大東亜戦争」「アジア・太平洋戦争」「十五年戦争」など、「あの戦争」に関わるさまざまな名称を取り上げ、解説した記事。

政治的立場や歴史観によって「あの戦争をどう呼ぶか」はちがいます。戦争の名称のような基本的なことでさえ、共通の基盤を確立することは難しい。でも、なんとかしたいものです。

 

4.太平洋戦争による破壊によって、多くの人命が失われるとともに、ばく大なインフラや資本・資産が破壊されました。それによって、過酷な格差社会だった戦前日本の支配階級や富裕層も大きなダメージを受け、多くが没落していきました。

そこで「戦争という巨大な破壊が平等化をもたらした」ともいえます。もちろん、「だから戦争には良いところもあった」などというのではありません。「それだけすさまじい破壊があった」ということを伝えたくて書いた記事です。

 

5.戦前の社会のひとつの側面について述べた記事。昭和の戦前期において、エリート軍人は、じつは安月給にあえぐ貧乏サラリーマンでした。しかし、「そこで社会に不満を抱き、軍国主義や戦争による変革をめざした」というのは短絡的すぎる説明です。ただし、軍の一部が主導した暴走を多くの軍人が許容したことと「エリート軍人の低待遇」は、やはり関係があるのではないか。

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6.昭和の日本はなぜ戦争へと突き進んでいったのか?

これについては、「①満州事変や、その展開といえる日中戦争へとつながった社会的要因」 という視点と、「②日中戦争の泥沼化から、その事態を打開しようとする動きの結果、アメリカとの戦争に突入していった過程」という2つの視点でみる必要があります。

①の「社会的要因」に関しては、つぎのような説明ができると、私は考えています。
「戦前昭和の日本は、激しい格差社会であった。格差・貧困などの社会問題の解決手段として、“満州・中国を支配して土地や資源を手に入れることで国を富裕にする”という選択肢が力を持つようになり、日本を戦争へと導く要因となった」

以下は、その視点について簡単に説明した記事です。

7.上記は短い記事ですが、「戦前の格差社会と戦争」というテーマについて、さまざまな側面から論じた長文(2万数千文字)の記事も、noteにアップしています。戦前の昭和社会と戦争の関係について、かなり深く知ることのできる記事だと自負しています。

 

8.上記で述べた、①満州事変→日中戦争の開始 ②日中戦争の泥沼化→日米開戦 という一連の経緯についてまとめたnoteの記事もあります。全2回合計で3万文字余りの長文ですが、初心者にも読みやすいように書かれていると自負しています。

日米開戦に至った決定的局面にとくに関心のある方は、第2回のほうから読んでいただいてもよいでしょう。

第1回 満州事変→日中戦争の開始

第2回 日中戦争の泥沼化→日米開戦

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9.こちらの記事は、さまざまな戦争の終結過程について論じた千々和泰明さんの著書から、とくに太平洋戦争の終結過程(ポツダム宣言の受託)について論じた部分を取り上げたもの。

そして、「ポツダム宣言の受託に至った要因として、広島・長崎への原爆投下よりも、ソ連の対日参戦のほうがより重要だった」という、近年の歴史研究に基づいた同書の見解について紹介しています。つまり、当時の日本のリーダーたちは「ソ連の仲介によってアメリカと条件の良い講和を結ぶ」という、今からみれば「幻想」でしかないプランに期待をかけていたというのです。

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10.ヨーロッパにおける第二次世界大戦については、私たち日本人は限られたことしか知らないのがふつうです。しかし、現代世界を理解するうえでは、ぜひもっと知っておくといいと思います。

そして、とくに重要なのが独ソ戦(ナチス・ドイツとソ連の戦争)です。独ソ戦は、アジアも含めた第二次世界大戦全体のなかで最大の戦いがくり広げられた「主戦場」です。以下の記事は、独ソ戦について解説した大木毅さんの著書を紹介しながら、この戦いについての基礎的な知識や視点について述べています。

 

11.また、noteでは全7回で、ヨーロッパにおける第二次世界大戦の経緯をまとめた記事もアップしています。

ヒトラーの登場、ナチス・ドイツによる近隣諸国の併合、ドイツのポーランド侵攻による第二次世界大戦の開始、ドイツによるフランス侵攻、ドイツとイギリスの戦い、第二次世界大戦の「主戦場」といえる独ソ戦の開始と展開、ホロコースト……

それらの基本的な経緯について、教科書的な知識をベースに、専門家による著書に基づいて解説を加えた記事。

全7回で合計6万数千文字になる長文の記事ですが、本1冊(10~20万文字が一般的)を読むよりはかなりコンパクトです。この記事から、第二次世界大戦を扱ったより詳しい著書、映像作品などを理解するうえで有効な基礎知識が得られるはずです。

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12.このほか、アンネ・フランクについて取り上げた記事。彼女の「日記」につぎの一節があります。

戦争の責任は、偉い人たちや政治家、資本家にだけにあるのではありません。名もない一般の人たちにもあるのです。

この言葉から、アンネについての基礎知識を述べつつ、戦争を考える記事。

 

13.最後に、小松左京のデビュー作『地には平和を』についての記事。

この作品はSFの中編(長めの短編小説)で、「歴史改変もの」の古典です。日本が1945年8月に降伏することなく、本土決戦となったパラレルワールド。そこでくり広げられる出来事を、1人の少年兵を主人公に描いています。フィクションですが、初心者が戦争について生き生きとイメージするひとつの手がかりとして、つまり「戦争入門」としてすぐれた作品だと、私は考えています。

以上、どれかひとつでも目を通していただければ、たいへんうれしいです。