そういちコラム

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「一流」はブレない・巨匠ダーウィンに学ぶ

チャールズ・ダーウィン(1809~82、イギリス)と同時に同じ主旨の「自然選択による進化論」を発表した科学者がいました。アルフレッド・ラッセル・ウォレス(1823~1913、イギリス)です。

進化論は神がかりを否定して唯物論的に生命を説明します。つまり「個体差」や「淘汰」といった、自然のなかのメカニズムだけで生物進化や生物界の多様性を説明するのです。これが、ダーウィンの進化論の画期的な点でした。

このような進化論が発表されると、宗教の力が強かった当時は猛反発がありました。ダーウィンの奥さんも、夫の仕事を嘆きました。

しかし、ダーウィンは揺るぎません。彼の中には「神がかりを排除した唯物論の世界観」が確立していました。その世界観が、彼の進化論の土台なのです。

一方ウォレスは,進化論を取り下げはしませんが、後にオカルト的な信仰に深入りして、神がかりを認めるようになり、「人間は進化論の例外だ」と考えるようになっていきました。

ウォレスほどの名を残した科学者でも、そういうことがあるのです。

でもダーウィンのような本物の一流の科学者は、根本的な世界観がブレることはありません。まず、自分の土台となっている基本的な考え方や価値観がはっきりと自覚されている。そして、つねにその「土台」「基本」から発想している。

これは、なかなかむずかしいことかもしれません。でも、それが徹底できるかどうかが、一流とそれ以外を分ける大事なところではないかと思います。

それだけに「何を土台とするか」は、きわめて重要なのでしょう。そこは自分で勉強して選びとっていくしかない。いずれにせよ「自分が何を選んだのか」を自覚している必要はあるはずです。

   ダーウィン

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ウォレスについての本

ダーウィンについての入門書としておすすめ。

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