そういちコラム

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日本の若者が希望を抱きにくい原因は「社会の硬直性」か

内閣府が2013年に行った「若者の意識」についての国際的な調査があります。日本および6か国の若者(13歳~29歳)を対象としたもの。

その質問項目に「自分の将来に明るい希望を持っているか?」というのがあります。選択肢は「希望がある」「どちらかといえばある」「どちらかといえばない」「希望がない」の4つ。

この問いに、日本の若者の12%が「希望がない」、26%が「どちらかといえばない」と答えました。両者合計で38%。

ほかの6か国での同じ合計値は、アメリカ9%、スウェーデン9%、イギリス10%、韓国14%、フランス17%、ドイツ18%です。

日本では、将来に希望を持つ若者が、ほかの国よりも少ないということです。少し前のデータですが、今も基本的な状況は変わっていないでしょう。

日本の若者が希望を抱きにくい要因について、鈴木賢志さんという研究者は「日本の社会システムの硬直性」をあげています。受験や就職で一度失敗すると、なかなか挽回できない。日本では「今はダメでも、明日はなんとかなる」という希望を抱きにくいのです(『日本の若者はなぜ希望を持てないのか』草思社、データも同書による)。

そんな日本社会の硬直性は、変えなくてはいけないでしょう。もちろんそれは簡単ではありません。

とりあえずのことを現実的に考えると、希望を見出すためにまず必要なのは、挽回する突破口を見出すための「情報」ではないでしょうか。

とくに、職業にかんする情報は大事です。社会にはさまざまな仕事があり、探せばどこかに自分の居場所をみつけ、そこからより良い人生を築くことができる、という見通し。そこに関わる情報を若者に届ける機会が、もっと必要ではないかと思います。

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鈴木賢志さんの本

この記事で書いたような思いもあって、先生や親御さんなどの大人をおもに想定した就活ブログを最近はじめました。私そういちはキャリアカウンセラーでもあります。