そういちコラム

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第二次世界大戦の犠牲者数

第二次世界大戦(1939~1945)による世界全体の死者は、軍人2305万人、民間人3158万人、計5400万人余りにのぼりました(ウッドラフ『概説現代世界の歴史』による)。

なお、1940年の世界人口は23億人です。2020年の世界人口78億人(23憶の3.4倍)で換算したら、「5400万人」は1.8憶人に匹敵します。

このうち最も多くの犠牲者を出した国はソ連(今のロシアなど)で、軍人1360万人、民間人772万人。

ソ連はおもにドイツと戦ったのですが、その戦い(独ソ戦)は、きわめて激しいものだったのです。そしてドイツの犠牲者は、軍人400万人、民間310万人。

日本では軍人・軍属230万人、民間人80万人が亡くなりました(厚労省による)。中国は、軍人132万人、民間1000万人。中国はおもに日本と戦い、ソ連に次ぐぼう大な死者を出しました。

なお、こうした死者数は諸説あり、これはある程度有力な説のひとつということです(以下の数字も同様)。

いずれにせよ、近年の大災害やテロなどで目にする犠牲者を大きく超える、ケタはずれの悲惨な数字です。しかしこれは80年ほど前の世界で現実に起こったことなのです。

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なお、数年間のうちに世界の広い範囲で(特定の国・地域での内戦などは除いて)、千万人単位の人が亡くなったことは、第二次世界大戦以外にもあります。

1918~1920年に起こったスペイン・インフルエンザの世界的な流行は、そうでした。このパンデミックでは世界で5000~8000万人が亡くなりました。当時の世界人口は18憶人。日本(人口5500万)では40万人が亡くなっています。

ただし、戦争のような破壊を伴っていないので、社会へのダーメジとしては第二次世界大戦が上回るのでしょう。

そして第一次世界大戦(1914~1918)では、ヨーロッパを中心に、軍人と民間人合わせて1800万人が亡くなっています。

この世界には恐ろしいこと・悲惨なことが、数々あるわけですが、こういう数字をみても、世界大戦や最悪のパンデミックというのは、やはりとくに恐ろしいのだと思います。そして20世紀の前半には、そのような最大の恐怖がくり返されたのです。

最近の私たちは、20世紀前半の破局のようにはなっていないものの、この2つの恐怖のプレッシャーを多かれ少なかれ感じています。パンデミックのプレッシャーが続いていたところ、最近は戦争のことが加わりました。

こんなブログ記事を書くのも、自分自身や読者の方のプレッシャーを助長することかもしれません。でもやはり自分なりに、イメージして考えるための材料を少しでも記しておきたいのです。

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