そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

エントリーシートには「貢献」を具体的に書く・そして「具体的」とはどういうことか

昨日にひき続き、就活のエントリーシートに関する記事です。でも、この記事から読んでいただいて大丈夫です。そして就活とは関係ない方も、「文章術」に関する話として読んでいただけるかと。

私そういちは「世界史研究」「文筆業」の看板を掲げながら、新卒生を専門とするキャリアカウンセラーでもあります。就活支援の組織で9年の実務経験があり、はてなブログで就活関連のブログも運営しています。

リンク:親と教師のそういち就活研究所

この記事は、私の就活ブログの記事の一部を要約したものです。

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就活のエントリーシートの自己PRに、何を・どう書くべきか?

まず「何を書くか」ですが、最も大事なのは「自分の“貢献”を書く」ということです。

つまり、自分の学生時代の活動(学業・サークル・アルバイトなど)で、その活動の場(ゼミやサークル、職場など)がめざしている目的に貢献するため、自分がプラスアルファで努力したこと・工夫したことなどを書くのです。

なぜ「貢献」が大事か。それは企業というものがつねに社員に対し、利益や組織運営に対する貢献を求めるものだからです。

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では、その「貢献」をどう書くか。大事なのは「自分が貢献のために行動している場面・様子が、映像的なイメージとして相手に浮かぶように書く」ことです。

「具体的に書こう(話そう)」とよく言われますが、じつは「具体的」というのは「その様子が映像的にイメージできること」なのです。

例をあげましょう。たとえば自己PRにおいて、「私は課題に対し努力・工夫を惜しまない」ということが自分の強みだと考え、それを「個人指導の学習塾での講師のアルバイト」という題材を通して述べるとします。

そんなとき、かなりの人は「私は生徒目線で指導し、その結果〇人中〇人を志望校に合格させました」といったふうに書くのです。

「〇人中〇人が合格」は良いのですが、「生徒目線で…」というのは「何をしたか」があまりにもぼんやりしています。

こういう人には、私なら「生徒目線のために、具体的には何をしたんですか?」と突っ込みます。

すると、最初はたいてい「生徒のことを考えて、わかりやすい、ていねいな説明をこころがけました」みたいな説明が返ってきます。でもこれは、結局は抽象論のくりかえしです。

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そこで「そういうことじゃなくて、“具体的に”というのは映像的にイメージできるような説明をしてほしいということです」と、さらに突っ込む。

するとたとえば「ほかのアルバイト講師よりも、ずっと時間をかけて授業の準備をしました。授業ごとに〇時間はかけていました」といった答えが返ってきたりする。

これに対してはさらに「その準備では、一般的な準備とはちがう何か特別なことはしたんですか?」などと聞きます。

そして、対話を重ねるうちにこんな答えが返ってくる。

「テキストを何度も読み込んで、声に出して読み上げることをしました。まず自分がテキストをしっかりと消化しないといけません」

「あと、子どもの興味をひくための、たとえばゲームのことなどの雑談ネタも、あらかじめメモしていました」

「それから、テキストの問題以外に、関連知識を問う選択肢のクイズもつくって出題していました。たとえばこんな問題です……」

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このくらいになると、聞いている側はその人の取り組んでいる様子がかなり映像的にイメージできます。それによってそれなりの「納得」が生まれるのです。

これで十分とはいえないかもしれませんが、まずはこのレベルをめざしましょう。

こういう具体的な説明がなく、ただ「生徒目線で指導しました」というだけでは「納得」は生じません。映像が浮かんでこないボヤっとしたことばかり言う人が選考を通過するのは、むずかしいです。

そして、このように具体化するための対話をしてくれる人が周囲にいれば恵まれていますが、そうでない人は自問自答していくしかありません。

最初はむずかしいかもしれませんが、自問自答で掘り下げることも、意識して取り組めばかなりの人に可能ではないかと思います。ぜひやってみてください。

 

より詳しく説明した、私そういちの就活ブログの記事

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