そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

今日の名言 先のみえすぎ

【今日の名言】
板倉聖宣(教育学者・科学史家、『発想法かるた』仮説社より)

先の見えすぎお先まっくら。

本当は未来を見通すことは難しいはずなのに、自分の限られた知識だけで見通せると思い過ぎる人が多い。

先がまったく見みえないのは心配だが、見えないはずのことまで見えると思い込むと「お先まっくら」に思ってしまいがち。

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これは板倉聖宣さん(1930~2018)という、私が尊敬する学者の創作ことわざです。いろいろなかたちで未来への不安を感じるときに、この言葉を思い出します。

最近は、日本経済の衰退や、世界情勢の不安定化といったことがよく言われます。財政や年金へ不安も高まっている。コロナの不安もある。

それに私は今50代後半で、中高年としての個人的な衰えも感じるようになって、それも不安につながっている。

若い人でも将来に不安を持つ人は増えているようです。たとえば「給料・暮らしが向上する見通しが持てない」といったことがある。

さまざまな世代で、将来の世界、日本、自分について「大丈夫か?」と思うことは、確かに増えているようです。

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未来のリスクについて考えるのは、それなりに意味があるのでしょう。でもやはり、未来はよくわからない。判断するのに、どうしても限られた情報しかないからです。専門家だって予測をいろいろまちがえます。

未来を案じるあまり、萎縮した無気力な感じになってはいけない。それよりも、今できることをすすめて、わずかでも希望をあたためていこう。そこからちがう未来が見えてくるかもしれない。

社会のうごきも、暗い面や問題のほかに、事柄の良い側面もいろいろあるはずです。

未来への悲観的な気持ちから「切り替え」をするのに、この「先のみえすぎお先まっくら」というのは有効な言葉ではないかと。