そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

近所の図書館は、数百万冊の蔵書とつながっている

あなたの家や職場の近所に、公共図書館はありますか? 

私の家から歩いて5分ほどのところには、まずまずの規模の市立図書館があり、よく利用しています。

ただ、私は図書館の机に向かうことはめったありません。本をさがしたり、本と出合ったりするために図書館に行きます。だから、立ったまま書架の前をうろうろするだけのことが多いです。

先日は家で本を読んでいて、その本で言及されていた本が気になって、この近所の図書館でさがしてみました。

残念ながら貸出中だったので、電車で10分ほどの近隣の市の中央図書館へ。ここは市内の数十万冊の蔵書が集中して保管され、私の生活圏では最大の図書館です。

そこには、さがしている本がありました。そして「近隣の市民」の資格で、本を借りることができました。

この本は新刊で7000円ほどします。10数年前に出たのですが、アマゾンでみても安い古書は出ていない。だから図書館で借りて、中身を確かめてから買おうと思ったのです。ひととおり読んで、「やはりこれは買おう」と思いました。

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本好きにとって「図書館が近くにある」というのは、住む場所を選ぶときのポイントのひとつになるはずです。

私が若いときに住んでいたアパートの近所にも、市立図書館の小さな分館がありました。ここにはたいした蔵書はなく、読みたいと思う本が本棚にみつかることは、そんなにありませんでした。

それでも、ときどき私はその図書館に足を運んでいました。それは、この小さな図書館が、何百万冊もの巨大な蔵書にアクセスする窓口であるからです。

著者やタイトルがわかっていれば、コンピュータの検索システムでその本をさがすことができます。最近は蔵書の情報をインターネットで公開している図書館もあります。

館内になければ、市内のほかの図書館にないか。市内全体で何十万冊という蔵書があります。本があれば、私の住む市では2~3日で取り寄せてくれます。

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目当ての本が市内の図書館になければ、窓口に相談してみましょう。隣接するほかの市の図書館や、東京都の場合は、港区にある都立中央図書館(あるいは国立市にある都立多摩図書館)をさがしてくれます。

都立中央図書館は、蔵書217万冊の大図書館です(2021年3月現在)。日本最大の図書館である国会図書館の蔵書(図書)は1174万冊ありますが(2020年度)、これは飛び抜けています。

都立中央図書館は、それに次ぐクラスの図書館なのです。そこから最寄りの図書館に本を取り寄せて、貸し出してくれます。私の住む市ではこれに1週間くらいかかります。

国会図書館では、原則として館外貸し出しはしていません。都立中央図書館でも、個人への館外貸し出しはしないのですが、市立図書館の窓口を通してなら、自分の部屋に持ち帰って読むことも可能なのです。

取り寄せに1週間かかっても、それだけの値打ちがあります。この方法で借りてきた本の中には、古書店でも見つかりにくい貴重なものもあります。

また、さがしている本がまだ書店で売られている新しい本であれば、リクエストして図書館に買ってもらう、という方法もあります(本によっては、できない場合もあります)。

こんな便利な窓口が、都市部であれば歩いて行ける範囲に、ひとつやふたつはある。

日本の広い範囲でそうなったのはこの20年ほどの(2000年頃以降の)、わりと最近になってからのことです。本を買うお金が足りなくても、勉強できる時代になったのです。

 

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