そういちコラム

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「科学くん」の実験

1600年頃のイタリアにサントリオ・サントリオ(1561~1636)という医師がいました。イタリアにはこういう「姓と名が同じ」名前があるそうです。ガリレオ・ガリレイもその類です。3月29日はサントリオの誕生日。

彼は、人間の体重変化を研究するため「人間が座って体重をはかれる大きな天秤をつくり、1日中乗って飲食や排泄のときの体重の変化を記録する」という実験を行いました。

天秤にはイスがあり、そこで食事やトイレもできます。実験台はサントリオ自身。

これで体重の変化を調べた結果「排泄をしなくても、絶えず少しずつ汗が出て体重が減る=無感発汗」という現象が明らかになりました(科学史家・板倉聖宣の著作による)。

なんだかテレビのバラエティでやる、面白おかしい実験みたいです。

しかしこの実験は、のちに「実験生理学」といわれる研究の先駆でした。「数量的なデータに基づく生理現象の研究」を創始したのです。彼は天動説のガリレオとも親交があり、影響を受けています。

実験による謎解きに夢中な人たち。近代科学を開拓したのは、こういう「科学くん」たちでした。

わかりやすい謎解きの楽しさが、初期の科学にはあります。それこそが科学の大事なところではないでしょうか。

 

 

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