二十代半ばの頃の私は、読んだ本についての批判をノートによく書いていました。「あの本のここがダメ、なぜなら…」といったもの。この頃、多少勉強して力がついた感じがしたので、その「実力」を使ってみたくなったのです。
自分が信奉する立場とは異なる考えの本を読めば「これはちがう」と思えることが色々みつかるので、どんどん書けてしまう。その本の著者が有名人だと、批判している自分が立派になったようでうれしい。
こういうことはあってもいいと思います。でも、「他人への批判」からは早く抜け出したほうがいい。私たちが向上し、周囲や社会に貢献するには「他人への批判」ではなく、自分自身の積極的な主張や情報を打ち出す必要があります。
それは前人未到の画期的なものでなくてもいいはずです。ごくささやかでも、プラスの何かを世の中に加えるものならいいのです。
これはつまり「自分の仕事」をすすめるということ。そのほうが楽しいです。
あるいは「自分の仕事」をすすめる人に声援を送るのも、おおいに意義があります。
それに、あまりに鋭い批判ばかりしていると、いざ自分の仕事をしようとしてもできなくなってしまうでしょう。「批判的な感受性」が強くなりすぎて、自分の仕事についても「こんなレベルでは誰に何を言われるかわからない」という不安が先だって身動きできなくなる。
今ネット上で、強い言葉による「批判」に熱心な人が多くいるのをみると、そんなことを思います。
自分の考えや批判的な視点を持つことは大事です。でも、批判を述べるのにエネルギーを費やすのはむなしいし、自分への副作用も大きいはずです。
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