あまり読書したことがなくて、「どんな本から読んだらいいんだろう」という人には、新書がおすすめです。
新書とは、173ミリ×195ミリまたはそれに近い判型(サイズ)のシリーズ本のことです。岩波新書、中公新書、講談社現代新書などが、新書の代表的な老舗ですが、ほかにもいろんな新書が出ています。
書店へ行って、新書の棚の前に立ってみましょう。新書のテーマは、科学・哲学から、歴史、時事問題、健康法、パソコン・インターネット、風俗……と森羅万象にわたっています。いかにも「カタい教養書」といったものもあれば、「手軽な実用書」といった感じのものもあります。
新書のラインナップの中には、きっとあなたの関心に合うものがあります。1冊数百円ですから、気軽に買えます。持ち運びもしやすいです。
なおブックオフは、やや古いものが中心ですが、多くの店舗で新書が豊富に並んでいます。
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比較的あたり外れが少ないのが、新書の特長です。それは、新書の著者の多くが、そのテーマに関してすでに定評のある人だからです。以前にそのテーマについて、本や論文を発表して、評価を得ている人ばかりだからです。
面白いと思う新書に出会ったら、その著者の書いたほかの本を読んでみると知識が深まります。本のなかの著者紹介のコーナーにその人の主要著作が載っています(アマゾンなどのインターネット書店で、著者名から検索することもできます)。
そして、その著書のうちのいくつかは、新書ではない、ハードカバーなどのやや専門的な本のはずです。とくに、著者が研究者である場合はそうです。
同じ著者によるより専門的な本と新書を読みくらべてみると、専門的な本のほうに詳しい情報が載っていて、勉強になることがしばしばあります。
しかし場合によっては、あとになってからより一般向けに書かれた新書のほうが、さらに本質的で深い議論を展開していることもあります。
さらに、参考文献の案内がしっかりしているものもかなりあって、そのテーマのガイドブックになります。新書は、より深く大きな世界への窓口にもなってくれるのです。
あるテーマについて、この新書のシリーズから1冊、この新書からも1冊……というかたちで読むこともできます。一般的なテーマであれば、可能です。それで3冊も読めば、そのテーマについて、かなりの勉強ができるでしょう。
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新書だけで読書の世界は成り立ちませんが、新書というのは、本の世界・知の世界のエッセンスが凝縮されている、すぐれた媒体です。私はおおいに利用しています。
最近はウクライナ情勢を考える参考にと、2冊の新書を読み返しています(どちらも中公新書)。
千々和泰明『戦争はいかに終結したか』という、世界大戦からイラク戦争までの、20世紀以降のおもな戦争の終結過程を解説した本と、黒川祐次『物語 ウクライナの歴史』です。どちらの本も、知りたいことをいろいろ教えてくれます。
この記事は、つぎの私の著作(電子書籍)の一部をもとにしています。アマゾンなどで発売中。