そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

芥川龍之介のイメージ・必死に闘う姿

3月1日は、作家・芥川龍之介(1892~1927、明25~昭2)の誕生日です。

芥川龍之介は、写真のイメージではいかにも知的でクールです。心を病んで35歳で自殺したので、病的で暗い印象もある。社会に関心の薄い「芸術至上主義」だともいわれます。

そして、「東大生のときに夏目漱石から絶賛され文壇デビュー」という、華々しい経歴でした。

ただし芥川は大学を出て3年ほどは、海軍の士官学校で英語教師をしながら作家活動を続けています。すぐに作家専業とはいかなかったのです。評論家から酷評され傷つくことも度々でした。

また、社会にも関心を寄せました。例えば新聞社の企画で中国に長期の取材旅行をして、中国人の苦悩や反日感情に触れるとともに、社会主義に共感するといったこともありました。そして、軍国主義を批判することも。ただ、中国旅行については「仲がこじれた気の強い愛人の女性から逃げる」という目的もあったようですが。

そして多くの家族を養い、親族の借金の始末など、生活の苦労もありました。

そんな中で、ぼう大な読書や刺激しあう仲間との交流を糧に、自分がめざす知的で美しい作品を書き続けたのです。

その姿は「クール」ではなく、いろんなものを背負って「必死に闘う」感じです。芥川に限らず、大作家とはそういうものなのでしょう。

長くはなかった生涯ですが、芥川は精いっぱい生きて、自分のできることを残したのです。

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以上の芥川のイメージは、この本から知りました。