勉強したいときは、まず「何か」を選ばないといけません。ただばくぜんと「何か勉強したい」というのでは、前に進めません。
ただ「強くなりたい」というのではなく、空手なのか柔道なのかボクシングなのかを決めて、どこかの道場の門をたたかなくてはならないのと同じです。「どんなことをしたいのか」「誰に学ぶのか」を決めるのです。
そのうちとくに大事なのは、「誰に学ぶか」ということです。
「どんなことをしたいのか決めなさい」というのは、よく言われます。でも本当は「どんなことをしたいのか」よりも、「誰に学ぶのか」という問題のほうが優先されると、私は思います。
ふつうは、「興味のある分野がまずあって、それに合った先生を選ぶ」というのが筋のように思われます。
しかし、何かある分野にのめり込んでいくきっかけというのは、その分野へのばくぜんとした関心よりも、むしろ「特定の誰かの仕事に感動して」というほうが多いのではないでしょうか。
文学にのめり込む人は、ある作家の作品に感動したことから入っていきます。音楽なら、特定のアーティストから入っていく。学問なら、誰かの理論や学説です。その誰かがみせてくれる豊かな世界が、あなたの関心や志をつくっていきます。
感動できる誰かを見出すことが、まず必要です。その誰かがあなたの「先生」です。
特定の先生にしっかり学ぶことではじめて、本格的な上達への道がひらけます。先生に直接会って学ぶことができなければ、本や作品などを通して学べばいい。
何かを選びましょう。そして、何かを選ぶとは、先生を選ぶことだと思います。
この記事は、以下の私そういちの著作の一部を編集したものです。