そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

「問題への対処」の方法は大きく2つある・「どういうこと?」と「くよくよするな」

私たちは、生活の中でさまざまな問題につきあたります。仕事のトラブル、人間関係、病気、お金がない……。そんなとき、対処するには2通りのアプローチがあるはずです。

ひとつは、「これはどういうことなんだ?なぜこうなった?」と状況を分析して対策を考える、というもの。

これは、学問のやり方です。学問の方法を発展させた結果、近代科学が生まれました。

もうひとつのやり方では、自分の外で起こっている問題のあり方よりも、問題を受けとめる自分の心のあり方を問題にします。「くよくよ考えてもしかたない。受けとめ方を変えよう」というのです。

つまり、世界についての受けとめ方を変えることによって、問題を問題にしなくなる。これは宗教の方法です。

神のような、絶対的・超越的な存在をおき、そこに全幅の信頼を寄せることによって「安心」する。それによって、世界の見方も変わってくるということです。そのことで、大きな視野や広い心を得る人も少なくありません。

また、宗教でも「いいこと・悪いことは前世の報い」のように、一応は「なぜ」を説明したりもします。でも結局は神や仏を原因にするので、あまり説明になっていません。

「悟り」とは、「問題を問題としなくなった境地」と言えるでしょう。どの程度の問題まで問題としなくなったかによって、悟りのレベルにちがいが出てきます。

学問と宗教は、人類があみ出した「問題への対処」の2大流派です。要するに、「どういうこと?」と問うのが学問。「くよくよするな」というのが宗教。

生きるうえでは「どういうこと?」と「くよくよするな」の両方をうまく使うのが大事ではないかと、私は思います。

「学問」と「宗教」についてのこういう説明を、私(そういち)は学生時代に武道家の南郷継正という人の著作で知りました。あれから少しは本を読みましたが、学問や宗教の本質について、これほど簡潔・明快な説明にはお目にかかっていません。

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この記事は、つぎの私の著作(電子書籍)の一節をもとにしています。

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