英国の女王エリザベス2世(1926~)が(2022年2月6日で)在位70年を迎えたそうです。
そういえば、昨年(2021年)に観たNHKのテレビ番組で、エリザベス女王の幼少期や若い頃の映像(動画)を紹介して「赤ちゃんのときの映像が残る最初の国王」だと述べていました。
でも、彼女のことはむしろ「幼少時からぼう大な動画が残る人類史上最初の人物」というべきです。
女王が生まれた1920年代には映像撮影は高価で手間のかかる技術で、日常的に撮ってもらえるのは大英帝国のお姫様くらいのものでした。
しかし今は、多くの子どもが生まれたときから頻繁に動画を撮影されて育っています。100年ほど前には世界中でエリザベス2世でしかありえなかったことが、今では庶民にもあたり前になっている。
これまで歴史は「特権階級に限られる希少なことが、技術革新や経済発展で多くの人にも可能なあたり前のことになる」方向で動いてきました。
映像撮影以外だと、自動車やコンピュータのある暮らしは、まさにそうです。
プロの演奏する音楽を好きなときに聴くのも、蓄音機以前にはお抱えの楽団が屋敷にいる貴族にしかできないことでした。スマホで音楽を聴くのは、お抱えの楽団をいつもポケットに入れて持ち歩いているようなものです。
これを「進歩」というのです。そして、進歩の核にあるのは「希少性の克服」ということではないか思います。