そういちコラム

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アメリカ独立革命で、建国の父たちは去っていった

アメリカ大統領の来日ということで、今回はアメリカ史のことを。その中の評価できる・前向きな面について。

アメリカ独立革命(1776年~)を指導した「建国の父」であるジョージ・ワシントンやトマス・ジェファーソン。彼らはそれぞれ初代・第3代の合衆国大統領を務めたあとは政界を引退し、第二の人生を過ごしました。

ワシントンは家業の大農園の経営者、ジェファーソンは自ら創設に関わった大学の総長として余生を送ったのです。

でも、革命家たちが革命を終えたあと、こんなふうに引退生活や第二の人生を送ったのは、じつはかなり異例なことです。

革命が成功すると、普通はその指導者は、ロベスピエール(フランス革命)や大久保利通・西郷隆盛(明治維新)のように革命後の闘争や対立で殺されるか、レーニン(ソビエト連邦を建国)や毛沢東(中華人民共和国を建国)のように死ぬまで引退しないものです。

アメリカ独立革命は、指導者の引き際が見事だった、めずらしい革命です。でも本来、革命はこうあるべきです。

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昔読んだ本で、経営コンサルタントのトム・ピーターズがこんなことを述べていました――「西部劇のシェーン(無法者を退治して堅気の一家を守った、流れ者のガンマン)が『カムバック!』と言われたからといって、そのまま居座ってしまったら、どうしようもない」。

そして多くの革命は、この「どうしようもない」感じに陥るわけです。

革命家の引き際と、後任への引き継ぎはきわめて大事です。アメリカ独立革命は、それがうまくいった古典的な事例といえます。

革命というのは「革命家という専門チームによる、社会変革のプロジェクト」ではないでしょうか。さきほどのトム・ピーターズの言葉は「プロジェクトはどうあるべきか」を論じた本にあったものです。

プロジェクトなら、どこかでピリオドが打たれ、平常の体制にバトンタッチしなくてはならないはずなのです。

 

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