そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

世界史のすすめ・まずはメジャーなところをざっくりと

学校の授業で世界史が嫌いだったという人は多いです。「出てくる国や民族、事件や年号が多くてイヤになった」というわけです。

でも、世界史を学ばないのはもったいないです。世界史は美術や文学、政治、経済などのさまざまな教養の基礎になっています。

どの分野の作品に触れても、世界のどこを旅しても、世界史の基礎知識があるとないでは、理解がまったくちがってくるはずです。

しかし、現実の世界史の教育では「あれもこれも」と詰め込みすぎて、みんなうんざりしています。

そこでまず、大人が世界史を学ぶ場合は、細かい年号や名詞とらわれないことです。たとえば西ローマ帝国の滅亡は「476年」ではなく「400年代」でいい。ややこしい国王や教皇の名前も不要。

あとは、各時代におおいに繁栄した「中心」といえるようなメジャーな国について、まずおさえることです。

たとえば古代ギリシア、ローマ帝国、秦・漢などの中国のおもな王朝、イスラム帝国、ルネサンス以降のヨーロッパ(とくにイギリス)、そしてアメリカ。まずは、これらのうちのどれかについて知ればいい。

そして、これらの国の超有名な人物、たとえばカエサルや始皇帝やムハンマドなどから入るのも、いいと思います。ナポレオンやヒトラーのような近現代の人物もいい。

でも最近は、こういう「中心」に目をむけるのは流行らない傾向があります。

勉強家は、もっとマイナーなテーマについての「通」な話がしたいといいます。「中心」という発想が、多様な文化を認める「多文化主義」の考えに反していると批判する人もいます。

でも最初は「メジャーなところをざっくりと大まかにおさえる」のが世界史を学ぶコツです。細かいことや通なことはあとでいい。

それがなかなか共通認識になりません。「あれもこれも」が根強い。世界史にかぎったことではないかもしれませんが。

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「メジャーなところをざっくり」の方針で私が書いた、大人向けの世界史の入門書。高校生が本格的に勉強する前に読んでもいいかと(新宿の某大書店では高校学参コーナーに複数置かれていました)。アマゾンでの評価は13件で平均4.6。

一気にわかる世界史