そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

今日の名言 ヘレン・ケラー 明日は視力がなくなるかもしれないという気持ちで

【今日の名言】
ヘレン・ケラー(奇跡の人、1880~1968)

明日は視力がなくなるかもしれないという気持ちで、あなたがたの目を有効にお使いください。

視力と聴力を幼いときに失ったヘレン・ケラー。彼女が「もしも三日間だけ視力を与えられたら」というテーマで書いた「三日間の視力」というエッセイの結びの言葉。

この言葉は20代のときに読んだ、木原武一『大人のための偉人伝』(新潮選書)で知りました。しかし今の私には、この言葉は若いときよりもはるかに響きます。

今私は50代後半で、最近は老眼などで視力もやや衰えてきました。小さな文字の本は読みにくいです。「自分はあと何冊読めるだろうか」と近頃は思うことがあります。だから、読んでよかったと思えるものをきちんと読んでいきたい。

「目を使う」というと、私は読書をまず思い浮かべますが、いろんな景色や映像も同じですね。

そして、大切な人の姿や日常の何でもない光景も、目に映る大事なものです。最後にみておきたいのは、そういうありふれたものかもしれません。

そもそも「“明日は失うかも”という気持ちで、能力を有効に使う」のは、視力に限ったことではないはずです。「あと何回ご飯が食べられるだろうか」「あと何回音楽が聴けるだろうか」とか、いろんな「あとどのくらい〇〇できるか」がある。

普段はあたり前の「〇〇できる」は、じつは貴重な、有限なことなのでしょう。

でも私たちは、大事な時間や能力を、もったいない感じで使ってしまうことがよくあります。ヘレン・ケラーのこの言葉は、くり返し思い出したいです。

 

「大人のための偉人伝」というジャンルの先駆けで、名著です(1989年刊)。