そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

現代史についての世界史セミナーで講師をつとめました

私はこれまで、世界史についてみなさんにお話をするセミナーの活動を行ってきました。大人向けの世界史の入門書(『一気にわかる世界史』日本実業出版社、2016年)を出版した翌年からのことです。

貸会議室や公民館に集まったお客さんに「世界史5000年を一気にみわたす」などの話を、3時間くらい、場合によっては4~5時間で。

ただ、この3年ほどはコロナのこともあって、その活動がストップしていました。しかし先日、久しぶりに世界史セミナーでお話をしました。

これは、以前に私のセミナーに参加された方からお声がけをいただいたのです。その方が主催している、健康法やその他の楽しみで交流するサークルで話をしないか、とのことでした。

つまり、歴史について特別な関心があるわけではない、「初心者」といえる方々の集まりです。それでも大丈夫かしら、と主催者の方は当初おっしゃっていましたが、私は「初心者向け」がメインテーマなので、大歓迎でした。

当日は、都内の繁華街にある公民館施設の一室に、10人の方が集まってくださいました。推定50~70代、これまでの平均よりはやや年長のお客さん。みなさんマスク着用。

なお、過去のセミナーでは、さまざまな年齢層の男女に来ていただいています。なかには、高校生の息子さんを連れて参加してくださったお父さんも。

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今回のテーマは「現代史」です。1900年頃からの100年余りの世界情勢の移り変わり。これをPowerPointのスライドを用いながら2時間半でお話ししました。

ヨーロッパの世界制覇(各地を植民地化)からスタートして、2つの世界大戦、戦後の冷戦体制等々……基本的にはオーソドックスな事柄を「現代の情勢をどう理解するか」を意識しながら、お伝えしていった。

これを2時間半におさめるのは、本来は相当に無理があります。しかし、要約のさじかげんや、事象の切り取り方など、それなりの説明の工夫をしております。

そしてセミナー当日、話している私としては「初心者には大変なところもあるのに、しっかり聞いていただいている」という手ごたえを感じました。

セミナーの最後に、みなさんに用紙を配って感想を書いていただいたのですが、そのなかには“ありがとうございました。夢中で聴きました”と述べてくださる方も。

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私の話のあとは、1時間ほど質疑応答・フリートークを行いました。この質疑の時間は、大変重要です(なお、私のプレゼンの途中でも、いくつもの質問をお受けしています)。

感想用紙では“講義のあとの話しあい、充実していました”とのお言葉もありました。私も今回はとくにそうだったと思います。

参加者の方々の質問・発言は、昨今の状況を反映して「戦争」や「台頭する中国」に関するものが目立ちました。

たとえば、この日お話した「現代史」は、まさに戦争のくり返しでした。それを受けて「どうして戦争はなくならないのか?」という、直球の質問があったりします。

こういう質問はいきなりだと、そこから抽象的な語りに終始しがちです。しかし、2時間半ほど現代史のさまざまな出来事を話したあとだと、ちがいます。

私は、この日にお話しした内容と結びつけながら、「民族・国家の優越願望」「近代化という“模倣”への抵抗」といった視点で、お話をさせていただきました(「優越願望」「模倣への抵抗」については、ここでは説明は省略)。

あるいはロシアという個々の国のことであれば、「あの国がどのように世界をみる傾向があるか」を、世界大戦(独ソ戦)などをふまえて説明できます。

このような対話は、断片的・抽象的な語りよりも、はるかに聴いている方に伝わり、考える刺激となるはずだと自負しています。

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参加者の1人は、感想用紙につぎのように述べておられました。

“人間の持つ優越意識、ナショナリズムは、人間の宿命なのか?そうすると、戦争という行為はなくならないものか? 2000万以上の犠牲者を出しての5月のロシアの戦勝記念日というのが、ロシア人にとってすごい日なのだというのが、よくわかる気がします。今日はよかったです…またもっとききたいです”

また、別の方はこう述べてくださっている。

“世界がこんなに身近に感じられたことはありません。戦争がどうしておきたのかわかったような気がします。他の国のまねをしたくないということが、孤立することになると感じました。人もそうですね”

もちろん「戦争はどうしてなくならないのか?」という大問題に、私が一刀両断に「これが答えだ」など示すことはできません。

ただ、ご自身が考えるためのきっかけや材料となる何かをお話しすることは、かなりできるように思います。

それなりに構成された内容で、質疑応答も含め、少なくとも3時間くらいあると、そういうことができるはずです。

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こんな感じの世界史セミナーです。

今後は都内で、自分自身の主催でも開催したいと思います。

そして、もしどなたかが主催して講師として呼んでくださるなら、よろこんで伺います(このブログの「著者について」にあるメールアドレスまで。講師料や交通費はいただきますが、主催者の方の可能な範囲で応相談ということで。テーマの設定も応相談です)。

みなさんと、世界史セミナーでお会いできることをたのしみにしております。

先日(2022年6月下旬)の私が講師をつとめた世界史セミナー

過去のセミナー(2018年)

私そういちの著書

一気にわかる世界史

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