そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

今日の名言 ジョブズ なにが僕を駆り立てたのか

2月24日は、アップルの創業者スティーブ・ジョブズ(1955~2011)の誕生日。そこで、やや長いですが、私が特に好きな彼の言葉を紹介します。

これはジョブズの歴史観・文明観を示した言葉です。「さまざまな遺産の継承のうえに、今の私たちが存在している」ということを述べています。そして、その認識にもとづいて、私たちは個人として、市民としてどう生きるか。

“なにが僕を駆り立てたのか。クリエイティブな人というのは、先人が遺してくれたものが使えることに感謝を表したいと思っているはずだ。僕が使っている言葉も数字も、僕は発明していない。

……僕がいろいろできるのは、ほかの人たちがいろいろしてくれているからであり、すべて、先人の肩に乗せてもらっているからなんだ。そして、僕らの大半は、人類全体になにかをお返ししたい、人類全体の流れになにかを加えたいと思っているんだ。それはつまり、自分にやれる方法でなにかを表現するってことなんだ。

……僕らは…僕らの先人が遺してくれたあらゆる成果に対する感謝を表現しようとするんだ。そして、その流れになにかを追加しようとするんだ。そう思って、僕は歩いてきた。”

(ウォルター・アイザックソン『スティーブ・ジョブズ Ⅱ 』講談社より)

ジョブズのさまざまな言葉が、亡くなって10年以上経った今もあちこちで取り上げられます。だからジョブズの名言など「月並み」かもしれない。

また、この人は大きな仕事をしたけど、やはり限界や欠点もある。やたらとありがたがってどうする、という見方もあるでしょう。

それでも、この人の言葉には、やはり特別な力がある。

こういう言葉に触れると、思います。自分も、歴史の遺産になにかを加えることをしていきたいものだ。ごくささやかなことでいい。あるいは、そんな仕事をすすめている人たちを、少しでも応援したい。私も、私になりに歩いていこう。

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この本からの引用。代表的なジョブズ伝の下巻。