【今日の名言】
星新一(作家、1926~1997)『ブランコの向こうで』新潮文庫より
みんなが偉大なことを完成するとは限らない。完成できたほうがいいにはきまっているが、できない人だってあるんだ。わたしは失敗に終わってしまった。しかし、完成を心にえがきながら、ずっと楽しく生きてきたよ。
完成させたい仕事があることじたいが、ひとつの幸せなんだと思います。
私にもそれが1つ2つあって、その完成に向けて取り組んでいるときはたしかに充実しています。完成を思い浮かべると、明るい気持ちになります。
しかし私はもう中年で、時間はかなり経ちましたが、まだそれは完成していません。
でも、取り組む楽しみがあったのなら、どんな結果でも「全然報われなかった」ということはありえないのでしょう。
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この言葉は「4回転半」に挑戦して、今回のオリンピックでは「完成」できなかったスケートの羽生選手の会見をみて、思い出しました。
羽生選手はたしかに悔しそうだったし、「努力は報われなかった」とも述べていました。でも、前人未到の大技への挑戦が(苦しくとも)充実していたことは、様子や言葉の端々から感じられました。羽生選手がこうなのだから、この言葉には真実があるのです。
直接はこの本からとった言葉です。星新一の名言集。
上記の名言集はこの本などの、星の作品から引用しています。