少し前にこんなテレビ番組がありました。「10万円あげるとしたら何をする？」と、いろんな人に聞いてみる。旅行や貯金などではない、面白い使いみちを言う人には10万円をあげて実行してもらう。
何度かそういう番組が放送されたと思いますが、私がみたなかでとくに面白かったのは、ベトナムの電気のない村に住む若いお父さん。
その人は、10万円でソーラーパネルと扇風機を買い、電気のあるくらしをささやかに実現しました。
あとは、昆布の名産地・北海道の羅臼（らうす）に住む女性。「地元の人も滅多に口にできない、最高級の昆布をたくさん買い、それを使った料理を世話になった地元の人にふるまう」というのです。
私も（10万円まではいかないけど）数万円で、特別な楽しいことをした経験があります。「こども文庫」をつくったのです。2015年のことです。
妻がビルの1室を借りて書道教室をしていて、そこに小さな本棚をしつらえ、子どもや大人が楽しめる本を並べました。本は、塾の（大人や子どもの）生徒さんが借りていきます。
この「そういち文庫」の蔵書は、当初は120～130冊。本代に何万円か費やしました。
文庫開設から何年か経ち、蔵書は2～3割増えて、貸出ノートも何冊か更新しました。生徒さんからのリクエストに応じて蔵書を買うこともあります。「そういち文庫」は、まずまず利用されています。
そんな「文庫」をやりたいけどお金がない、いつか将来は、みたいな話をネット上でみかけたことがあります。でも、数万円でとりあえずの「文庫」はできます。
私たちは「お金があったらこうしたい」と考えます。でもその夢は、思うよりも少ないお金で実現できるかもしれない。1万円しかないなら、それで何かできないでしょうか？
