【今日の名言】
ウィンストン・チャーチル(英国の首相、1874~1965)
われわれの仕事を行うには、大量の書類を読む必要がある。だが、ほとんどの書類が長すぎる。
何かの計画にせよ報告にせよ、ほとんどのことは書類1枚程度で伝えられる。できないなら、考え・内容が混乱しているのだ。その仕事を見直す必要あるのでは?
この言葉は、1940年に首相に就任したチャーチルが、政府の各部局に送ったメモからのもの。木下是雄『理科系の作文技術』(中公新書)で知りました。
1940年というのは、英国がナチス・ドイツの脅威に直面していたとき。1930年代末、ヒトラーのナチス・ドイツは、つぎつぎと周辺諸国を軍事力で制圧していきました。39年9月に英国とフランスはドイツに宣戦布告。
そのような「危機の時代」に首相となったのが、チャーチルでした。
チャーチルのメモには、「文書の書き方に」について、具体的なつぎの指示があります。
“1.報告書は、要点をそれぞれ短い、歯切れのいいパラグラフにまとめて書け。
2.複雑な要因の分析にもとづく報告や、統計にもとづく報告では、要因の分析や統計は付録とせよ。
3.正式の報告書でなく見出しだけを並べたメモを用意し、必要に応じて口頭でおぎなったほうがいい場合が多い。
4.次のような言い方はやめよう。:「次の諸点を心に留めておくことも重要である」、「……を実行する可能性も考慮すべきである」(以下略)”(『理科系の作文技術』より)
「文書を短く」と指示するチャーチルのメモの背景には、当時の緊張感があるのでしょう。
チャーチルほどの重たい危機感や緊張感は、私たちには縁遠いとは思います。でも、書類ひとつにしても、ピシッと引き締まったものを出していきたいものです。
参考文献。文章論・文章術の名著です。