2021年、実業家の前澤友作さんが宇宙ステーションに行って帰ってきました。これを「金持ちの道楽」と冷ややかにみる人もいます。
しかし、かつて宇宙旅行は、国家に所属する特殊な専門家である宇宙飛行士にしかできませんでした。どんな大富豪にも不可能でした。それが最近は、大金を積んで一定の訓練をすれば可能になったのです。
これは、大富豪ではない人にも可能になる第一歩です。
技術の進歩とはそういうものです。歴史をみると、重要な技術革新は、最初は権力者や特殊な専門家が独占していました。つぎに大富豪にも入手可能となり、その後は価格低下で一般富裕層に広まり、最後は庶民にも普及する。
たとえばコンピュータ、飛行機での移動、動画撮影はそうでした。コンピュータは1940年代に米軍の研究機関で生まれ、50年代からは大企業(現代の富豪)に導入され、70年代にはパソコンが生まれたのです。
つまり技術の普及には「国家や特殊な専門家」→「富豪」→「一般富裕層」→「庶民」という段階がある。大富豪に開放されることで、技術は一般社会へとリリースされたことになります。