そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

2022-05-01から1ヶ月間の記事一覧

漢字の書体(楷書・行書・草書など)の歴史・「初めに楷書」ではない

漢字の書体で、私たちがまず習うのは楷書(かいしょ)という、字画を略したり続けたりせずきちんと書く書体です。 楷書 そして、やや崩れたやわらかい書体である行書(ぎょうしょ)や、さらに崩れた、流れるような書体の草書(そうしょ)もあります。 草書(…

じかに教えてもらえなくても、最高の先生をさがそう

勉強では「誰に学ぶか」「誰を先生とするか」ということが、決定的に大事だと思います。 「先生」というのは、「こんなふうに考えることのできる頭になりたい」と思える人です。「その思考のすべてを真似したくなる人」といってもいい。 ここで「勉強」とは…

歴史上の偉人に敬称は要らないはずでは?

テレビで話す人が「太宰治さん」「湯川秀樹さん」「渋沢栄一さん」などと、歴史上の偉人(とくに近現代の偉人)を「さん」付けで呼ぶのを聞くことがあります。 私はそれがちょっと気になります。偉人などの歴史上の人物に敬称は要らない、というのが(活字の…

「誤送金」の事件で社会について学ぶ

最近、テレビのワイドショーをみると阿武町の誤送金事件のことを毎日のようにやっています。ネットでもいろいろ取り上げられている。 私は当初それを多少眺めるくらいで、あまり関心を持っていませんでした。「あいつは悪い奴」「いやこっちが悪い」みたいな…

1人でないと考えられない。1人では考えられない。

「1人でないと考えられない。1人では考えられない」というのは、自分でつくった格言みたいなもの。座右の銘のようにときどき思い出します。 深く考えることや、核となる大事なアウトプットというのは、1人で行うものです。「みんなで・仲間で」という姿勢だ…

「カンタン世界地図」を描いてみよう・世界の地域区分早わかり

以下の地図にあるような「世界の地域区分」について知ると、世界史やニュースを理解するうえで便利です。ただし、区分の仕方については諸説あります。 世界の地域区分(秋田総一郎『一気にわかる世界史』日本実業出版社より) 西ヨーロッパ(西欧) ドイツ、…

「文化」を繁栄の基盤にした衰退期のベネチアに学ぼう

今の日本にとって最重要の長期的課題は「これからの繁栄の基盤をどうするか」ということではないでしょうか? この数十年の日本の繁栄の基盤は、「家電や自動車などの工業製品をつくり、輸出すること」でした。 しかし、この基盤は近年かなり揺らいでいます…

多作な人は、多作だからこそ書くことが尽きない

文章の世界でたくさんの仕事をしている人を見ていると、「多作なのに書くことが尽きない」のではなく、「多作だからこそ、書くことが尽きないのだ」と思えます。 どの分野にも、寡作な人と多作な人がいます。学問の世界でも、めったに論文を書かないまま定年…

戦争という破壊がもたらした平等化

歴史学者のウォルター・シャイデルによる、世界上のさまざまな「破壊がもたらした平等化」を扱った『暴力と不平等の人類史』(東洋経済新報社、2019年、原著2017年、鬼澤忍・塩原通緒訳)という本があります。 その本では、アジア太平洋戦争による「平等化」…

アメリカ独立革命で、建国の父たちは去っていった

アメリカ大統領の来日ということで、今回はアメリカ史のことを。その中の評価できる・前向きな面について。 アメリカ独立革命(1776年~)を指導した「建国の父」であるジョージ・ワシントンやトマス・ジェファーソン。彼らはそれぞれ初代・第3代の合衆国大…

「いつか読むかも」という本は買っておく(お金の許す範囲で)

ふつうの楽しみのための読書だったら、「これから読もう」と思う本を買います。でも、もっと深い勉強や、文章を発表するなどのアウトプットを志す場合は、ちがいます。 買うのは、「これから読もう」という本だけではありません。「今は読まないけど、いつか…

「技術革新がペースダウンしている」という説

美術・音楽・文学などのさまざまな表現で、20世紀末以降「新しいものが生まれにくくなっている」ということは、専門家やマニアのあいだでたまに言われます。私もそのように思っている1人。 ただ、文化的な領域で「何が新しいか」は、感覚的・主観的なところ…

あなたの文章を読んでくれる人は、恩人

文章は書き続けないと、上達しません。どうしたら、書き続けることができるのでしょうか? 一番大切なのは「たったひとりでいいから、読んでくれる人をみつけること」です。人に読んでもらうあてのない文章を書くのは、むなしいことです。だから日記は、たい…

「シン・ウルトラマン」をみた・社会の変化がゆっくりになっている

映画「シン・ウルトラマン」をみてきました。いろんな評価があるようですが、私は楽しい時間を過ごすことができました。50代後半の、初代ウルトラマンに夢中になった世代だからでしょう。 あの映画は、そういう世代のための「ウルトラマン祭り」です。「世界…

今日の名言 夏目漱石 牛のように図々しく進め

【今日の名言】夏目漱石(明治~大正の文豪、1867~1916) 牛のように図々しく進んでいくのが大事です。 漱石が、若手だった頃の芥川龍之介(1892~1927)への手紙で述べた言葉。自分が本気で信じる道を、力強く・あせらず・根気よく進んでいこう。 *** …

「バブル」「高度成長期」っていつのこと? 基本の年代をおさえる

カフェで隣のビジネスマンたちが「1995~96年」を「バブルの頃」だと話すのを耳にしたことがあります。でも日本の「バブル経済」は1986年から91年(あるいは 90年)にかけてのこと。 また、かなり有名な、ある映画のDVDのパッケージでは、映画の舞台の「昭和…

世界史の時代区分・三区分法

時代区分とは、歴史的な時間の流れをいくつかに区切ることです。日本史では「奈良」「平安」「鎌倉」……といった「〇〇時代」の区分が最もおなじみです。 世界史の時代区分では、「古代・中世・近代」の「三区分法」というものがあります。 【古代】紀元前350…

「理想の村」のむずかしさ

5月14日は、共産主義の運動家ロバート・オウエン(1771~1858、イギリス)の生まれた日。 オウエンは、裸一貫から身をおこし、紡績工場の経営者として事業を成功させました。そしてそれだけでなく、労働者の待遇改善や教育・啓蒙にも熱心に取り組みました。 …

ムーミンの誕生とフィンランドにおける戦争

フィンランドというと、「ムーミン」「北欧デザイン」「ノキア」などが思い浮かぶくらいで、その歴史について、私たちはふつうはほとんど知りません。 でも最近はウクライナ戦争の影響でNATO(北大西洋条約機構)への加盟がすすめられていることや、首相の来…

ナイチンゲールは何をした人?「白衣の天使」ではおさまらない

5月12日は、フローレンス・ナイチンゲール(1820~1910 イギリス)の誕生日です。そしてこの日は、彼女の誕生日にちなみ「看護の日」とされているそうです(1990年制定)。 ではそもそも、ナイチンゲールは何をした人だったのでしょうか? 多くの人を救った…

「大統領」と「首相」からみた、さまざまな政治体制

先日、韓国の新しい大統領が就任しましたが、そもそも「大統領」とは何でしょうか? 「首相」とどうちがうのでしょうか? 大統領は「共和国の元首」です。共和国とは「国王などの世襲の支配者がいない国」のこと。元首とは「国を代表するトップ」です。 一方…

今日の名言 先のみえすぎ

【今日の名言】板倉聖宣(教育学者・科学史家、『発想法かるた』仮説社より) 先の見えすぎお先まっくら。 本当は未来を見通すことは難しいはずなのに、自分の限られた知識だけで見通せると思い過ぎる人が多い。 先がまったく見みえないのは心配だが、見えな…

近所の図書館は、数百万冊の蔵書とつながっている

あなたの家や職場の近所に、公共図書館はありますか? 私の家から歩いて5分ほどのところには、まずまずの規模の市立図書館があり、よく利用しています。 ただ、私は図書館の机に向かうことはめったありません。本をさがしたり、本と出合ったりするために図書…

住まいにおける「妥協の組み合わせ」をさぐる

私そういちは、現在築40年余りになる団地に、リノベーション(全面改修)をして住んでいます。リノベをしてからもう15~16年経ちます(リノベの設計は寺林省二さんによる)。 団地の魅力は、緑豊かな環境、日当たりのよい間取り、安い物件価格……といったこと…

汚職とロボット官僚

権力者の汚職には、家族や親しい人のためのものが多いです。 たとえば何年か前には、当時の我が国の首相が友人の学校法人のため、あるいは隣国の大統領が姉妹同然の親友のため、不正を行ったのではという疑惑が持ち上がりました。そして、この大統領は退任後…

たまには、高価な本を買ってみる

たまには、少し高価な本を買ってみるといいと思います。高価な本をていねいに読むと、「具体的なデータなどをもとに、自分なりに考える」ことの練習ができます。 「高価な本」といっても、一部のマニアが集めるような、何10万円もするものではありません。4…

子どもに関する統計・とくに乳児死亡率に注目

今日(2022年5月5日)の日経新聞に、子どもの日にちなんで「日本の子どもが減っている」という、恒例行事的な記事がのっていました。そこにつぎのデータがありました。 総務省の推計によれば、日本の15歳未満の子どもは2022年4月1日時点で1465万人。去年より…

中銀カプセルタワーの取り壊し・「なつかしい未来」の建築

この変わった建物は東京都中央区にある中銀(なかぎん)カプセルタワービル。建築家・黒川紀章(1934~2007)の設計で、1972年に建てられました。 そして、今年の4月に取り壊しが始まっていたことを、私は一昨日のNHKニュースで知りました。写真は2019年に撮…

楽天主義のワイマール憲法と、人間不信のボン基本法

第二次世界大戦をひき起こした独裁者ヒトラー(1889~1945)は「ワイマール憲法」のもとで登場しました。 この憲法は民主的で、国民投票や大統領公選のように「国民が直接決める」ことを重視しました。なのに、独裁者を生んだのはなぜ? そこで、戦後のドイ…

もっと有効な「味方の増える旗印」を

第二次世界大戦のとき、ファシズムの陣営(ナチス・ドイツ、日本、イタリア)が敗北した理由のひとつに「味方の増えない、敵をつくりやすい旗印」を掲げていたことがあります。 つまり、ファシズム国家は「自分たちの民族こそが世界に君臨すべき優れた存在だ…