そういちコラム

数百文字~3000文字で森羅万象を語る。挿絵も描いてます。世界史ブログ「そういち総研」もお願いします。

2022-02-01から1ヶ月間の記事一覧

全部読む本は、10冊に1冊あればいい

本を、最初から全部通して読む必要はありません。「とばし読みでは頭に残らない、著者の主張はわからない」という人もいます。でも、「本を読むなら全部読まなくては」と思うから、本が読めないのです。ざっと目を通して、興味の持てるところ、理解できると…

そもそもヨーロッパとは・ヨーロッパの「西と東」とは・東方正教とは

このところ私たちは、ロシアを含むヨーロッパの地図をテレビやネットでくり返しみています。 そもそもヨーロッパとは何か? 地理学者のジョーダン夫妻(『ヨーロッパ』二宮書店)によれば、つぎの3条件をみたす地域のことです。 ①住民の多数派がキリスト教…

国家は「幻想」ではなく、現実的な「利害の共同体」

「国家というものは、ある種の幻想だ」という説あります。私は、これはちがうと思います。私は「国家にはそれなりの現実的な成立根拠がある」という立場です。 今の世界の国ぐには「国民国家」です。「国家」というと、多くの場合、国民国家をさします。これ…

第一次世界大戦が始まった経緯・東欧の地域紛争が世界大戦に

第一次世界大戦(1914~1918)は、西欧とロシアの狭間(はざま)である東欧の地域での、大国が中小の国家を攻撃する地域紛争をきっかけに始まりました。今のウクライナ情勢をみているとそのことを連想し、恐ろしくなります。 第一次世界大戦勃発の経緯は、以…

古代メソポタミアの環境問題

5000~4000年前のメソポタミア(今のイラクなど)には最古の文明が栄えていました。大河の水を利用する大規模な灌漑(かんがい)農業によって人口数万規模の都市がいくつも成立していたのです。 しかしこの地域では、灌漑農業を長く続けた結果「塩害」が深刻…

今日の名言 ジョブズ なにが僕を駆り立てたのか

2月24日は、アップルの創業者スティーブ・ジョブズ(1955~2011)の誕生日。そこで、やや長いですが、私が特に好きな彼の言葉を紹介します。 これはジョブズの歴史観・文明観を示した言葉です。「さまざまな遺産の継承のうえに、今の私たちが存在している」…

何度もリピートする宿

私たち夫婦には、これまで何度も泊まった宿があります。ひとつは都心にある眺めのよいビジネスホテルで、泊まるたびにホテル近くの同じレストランで食事をして、都心の繁華街や美術館をみてまわります。 私たちは都内の多摩地区に住んでいるので、都心は日帰…

大事なのは「誰に学ぶか」

勉強したいときは、まず「何か」を選ばないといけません。ただばくぜんと「何か勉強したい」というのでは、前に進めません。 ただ「強くなりたい」というのではなく、空手なのか柔道なのかボクシングなのかを決めて、どこかの道場の門をたたかなくてはならな…

書道教室の子ども文庫

妻が近所でビルの一室で、子どもと大人のための書道教室をしています。教室には、私そういちが揃えた子供向けの本を100数十冊並べた本棚を置いている。「そういち文庫」と呼んでいます。 これらの本は、おもにブックオフやアマゾンの中古で、選んで買いまし…

ロシアの基本データ・日本人にはわかりにくい国

ロシアという国の基本データをみると、たしかに日本とはいろいろな面で大きくちがっています。手元にある統計集『世界国勢図会』(矢野恒太記念会)でみてみると… まず人口。ロシア1.5憶、日本1.3憶(2020年)。人口は近いですが、ロシアの面積は日本の45倍…

中学の教科書を読んでみよう

学問全般の広い知識が得たければ、中学校の教科書を読むことをおすすめします。教科書が手に入りにくければ、学習参考書でもいいでしょう。 高校の教科書・参考書は、詰め込まれている情報が多すぎます。初心者には、ひとりで読み通すことが難しいです。 「…

蘭学(異端の新しい世界)をみつけて創造的に生きる

「創造的に生きるには、自分なりの“蘭学”をみつけることだ」と私は思います。ここでいう蘭学とは「評価が定まっていない、異端の新しい世界」のこと。 江戸時代の日本は、オランダ以外の西洋には国を閉ざしていました。しかし一部の先覚者は西洋文明の優秀さ…

「ニセの人望」ではなく、自分に合う人望を求める

福沢諭吉の『学問のすゝめ』に、こんな意味の一節があります。 「人望はその人の備えている能力や人徳によるものだが、そうでないことも多い。それは、見かけだおしの宣伝だけで売れているインチキ商品みたいなものだ」 つまり、実際の能力などに基づかない…

英訳して日本語に戻す・シンプルに書く方法

村上春樹さんは30歳頃に初めて書いた小説「風の歌を聴け」でデビューしました。この作品はいったん書きあげた原稿を、全部書き直して完成させたものです。 最初は一般的な小説の文体で書いたのですが、どうも納得できない。そこで最初の1章くらいを英訳して…

「大人の楽しい勉強」をめざす

世の中には、大人のための「勉強法」の本がいろいろとあります。でも、それらの多くに私そういちは違和感があります。勉強というものを、仕事の成功や資格取得などと安易に結びつける傾向が強いからです。 そのような成功を求めるのは、切実でもっともなこと…

今日の名言 ガリレオ 自分で確かめよう

【今日の名言】ガリレオ・ガリレイ(近代科学の父、1564~1642) どうして人の報告を信じるばかりで、自分の眼で観察したり見たりしなかったのですか。(ガリレオ『天文対話』より) 2月15日はガリレオ・ガリレイの誕生日。ガリレオは、真理を実験的に確かめ…

今日の名言 その問題を解きたいか? 問題発見の人間学

【今日の名言】ゴース、ワインバーグ著『ライト、ついてますか 問題発見の人間学』より 私は(われわれは)その問題を本当に解きたいか? ゴースとワインバーグは技術的問題に詳しいコンサルタント。問題に対処するとき、この言葉で自問してみては? 私たち…

世界史のすすめ・まずはメジャーなところをざっくりと

学校の授業で世界史が嫌いだったという人は多いです。「出てくる国や民族、事件や年号が多くてイヤになった」というわけです。 でも、世界史を学ばないのはもったいないです。世界史は美術や文学、政治、経済などのさまざまな教養の基礎になっています。 ど…

国が衰退するときの「大企業病」

どれほど繁栄した国も、いつかは衰えます。衰退期の国では、過去の成功体験にこだわって新しいものを受けつけなくなる「社会の硬直化」がみられます。 これは、成功した大企業が時代の変化に取り残され衰退するという、「大企業病」に似ています。 2012年に…

「役立つこと」より「面白いこと」を

私は、意志の強いほうではありません。お酒を減らそうと思うのですが、むずかしい。日記や家計簿も続いて2週間くらい。 そんな私でも、歴史や社会科学などの好きなことがらについて、本で勉強し文章を書くということだけは、30年来続いています。それで書い…

今日の名言 星新一 完成できない人だっている。しかし…

【今日の名言】 星新一(作家、1926~1997)『ブランコの向こうで』新潮文庫より みんなが偉大なことを完成するとは限らない。完成できたほうがいいにはきまっているが、できない人だってあるんだ。わたしは失敗に終わってしまった。しかし、完成を心にえが…

感染症は文明の副作用

感染症は、文明に必然的に伴う副作用です。多くの人間が密集する「都市化」や、遠く離れた地域と交流する「グローバル化」という文明の要素が、激しい感染症の被害という副作用をもたらしてきました。 5000年ほど前のメソポタミアでは、すでに数万人規模の都…

今日の名言 吉村順三(建築家) 雨の日は家に守られる

【今日の名言】吉村順三(建築家、1908~1997) 雨の日に家にいると、家に守られているようで、好きだ。 吉村はおもに昭和の戦後に活躍し、大規模な公共建築から低予算の小住宅まで、いずれも見事な作品を残した建築家です。 今日、私の住む東京方面はかなり…

猿を背負って戦う選手たち・オリンピックという場所

錦織圭選手は、こう述べているそうです。 《小さい頃に“背中に猿を背負うな”と言われました。よけいな思いや、プレッシャーを背負いすぎるなと。》(「錦織圭公式サイト」より) なるほど「猿を背負う」か。たしかに「動きを制約する猿」には気をつけないと…

介護職の制服は良くなってほしい

ある日テレビで、介護職の人たちがコロナ禍で頑張る映像をみていて「介護職の制服は、もっと良くなってほしい」と思いました。 そのとき映っていた人たちの制服は、ペラペラな感じのピンク色のポロシャツ。重要なエッセンシャルワーカーの制服が、これでいい…

意義ある創造は一度きり・紙の発明から考える

実用的な紙が発明されたのは、2000年前ころの中国です。その製造法は「樹や草からとれる植物繊維をほぐして一定の成分が入った水に溶かし、網ですくいあげて固める」というもの。 紙以前にも、古代エジプトにパピルスという、紙に似たものがありました。パピ…

今日の名言 人生を立てなおす時、本は欠かせない

【今日の名言】 ブラジルのサンパウロで移動図書館を運営する元ホームレスの男性(NHKのテレビ番組より) 人生を立てなおす時、本は欠かせない。視野を広げてくれるからだ。 これは数年前にみたNHKの『世界ふれあい街歩き』という番組で、ある男性が述べた言…

「問題への対処」の方法は大きく2つある・「どういうこと?」と「くよくよするな」

私たちは、生活の中でさまざまな問題につきあたります。仕事のトラブル、人間関係、病気、お金がない……。そんなとき、対処するには2通りのアプローチがあるはずです。 ひとつは、「これはどういうことなんだ?なぜこうなった?」と状況を分析して対策を考え…

エリザベス2世は「人類史上最初の1人」

英国の女王エリザベス2世(1926~)が(2022年2月6日で)在位70年を迎えたそうです。 そういえば、昨年(2021年)に観たNHKのテレビ番組で、エリザベス女王の幼少期や若い頃の映像(動画)を紹介して「赤ちゃんのときの映像が残る最初の国王」だと述べて…

今日の名言 ヘンライ(画家) 最初から巨匠であれ

【今日の名言】ロバート・ヘンライ(1865~1929、アメリカの画家・美術学校教師)『アート・スピリット』より 芸術を学ぶ者は最初から巨匠であるべきだ。つまり、自分らしくあるという点で誰よりも抜きんでていなければならない。 こういう言葉は「カン違い…